接骨院・鍼灸院の広告規制は複雑で、表現方法を一つ誤るだけで行政処分のリスクが生じます。正しい知識を持ち、法律と集客を両立させましょう。

この記事でわかること

  • 接骨院・鍼灸院に適用される広告規制の法的根拠と主なルール
  • 違反しやすいNG表現の具体例と判断基準
  • 規制の範囲内で集客効果を高める正しい表現の実践ポイント
結論:接骨院・鍼灸院の広告は柔道整復師法・あん摩マッサージ指圧師はり師きゅう師等法により、書ける内容が法律で限定列挙されています。「治る」「完治」といった効果の断定表現はNGですが、料金・実績・院の理念を事実ベースで発信すれば、規制内でも十分に集客効果を高められます。違反時は行政指導からスタートするため、まずは自院の広告物を今回のチェックリストで見直すことが第一歩です。

なぜ今、広告規制の知識が必要なのか

近年、整骨院・接骨院・鍼灸院の数は急増しています。厚生労働省の2023年調査によると、全国の柔道整復師施術所は約5万施設、はり・きゅう施術所は約3万施設に達しています。施術所の増加に伴い集客競争も激化していますが、その一方で不適切な広告表現による行政指導や摘発件数も増えています。

積極的な広告で差別化を図りたいという院長の思いは自然ですが、規制を理解しないまま表現を選ぶと、院の信頼性を損なうだけでなく、最悪の場合は業務停止処分につながりかねません。まずは自院の広告が法律の範囲内に収まっているかを確認することが重要です。

接骨院・鍼灸院に適用される広告規制の法的根拠

接骨院(整骨院)と鍼灸院の広告には、それぞれ異なる法律が根拠となっています。

柔道整復師法(接骨院・整骨院)

柔道整復師法第24条では「施術者の氏名・住所・施術所の名称・電話番号・所在地・施術日時など、厚生労働大臣が指定する事項以外の広告を禁止」しており、広告できる内容が厳しく限定されています。許可されている主な広告内容は次のとおりです。

  • 施術者の氏名および住所
  • 施術所の名称・電話番号・所在地
  • 施術日・施術時間
  • 厚生労働大臣が指定する事項(ほねつぎ・接骨など)

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(鍼灸院)

同法第7条においても鍼灸師が広告できる内容は同様に限定列挙されており、「疾病の治療効果がある」などの表現は明確に禁止されています。また、2022年以降、厚生労働省はウェブサイトやSNSの投稿も広告規制の対象と明確化しており、ランディングページやリスティング広告には特に注意が必要です。

柔道整復師法・あマ法以外にも注意したい関連法規

接骨院・鍼灸院の広告は、業界固有の法律だけでなく、他の業種にも共通する法律の対象にもなります。特に次の2つは見落とされがちです。

景品表示法(優良誤認表示の禁止)

実際の効果よりも著しく優れているかのように誤認させる表示は、景品表示法上の「優良誤認表示」に該当する可能性があります。柔道整復師法・あマ法をクリアしていても、根拠のない「業界最高水準の技術」といった表現は景品表示法の観点で別途アウトになり得るため、二重チェックが必要です。

医薬品医療機器等法(薬機法)

院内でサプリメントや物販商品を扱っている場合、「痛みに効く」「疾患が改善する」といった表現は薬機法上の未承認医薬品的な効能効果標榜に抵触するおそれがあります。施術の広告と物販の広告は別のルールで管理し、混同しないことが重要です。

接骨院・鍼灸院の広告規制で特に注意すべきNG表現

実際の行政指導事例をもとに、違反しやすいNG表現を整理します。

治療効果を断定・保証する表現

  • 「腰痛が完治します」「ヘルニアが治る」→ 治療効果の保証はNG
  • 「〇〇病に効果的」「慢性疾患にも対応」→ 疾患名を用いた効果表現はNG
  • 「痛みが確実に取れる」→ 断定的な効果表現はNG

比較・誇大表現

  • 「地域No.1の施術院」→ 客観的根拠のない優位性の主張はNG
  • 「他院では治らなかった症状も対応」→ 比較優位・誇大表現はNG

医師・医療機関と混同させる表現

  • 「医療的施術」「診察」「処方」など医療行為を連想させる用語の使用
  • 白衣着用の写真に「治療院」表記を組み合わせた表現

ビフォーアフター画像・体験談演出の落とし穴

SNSやウェブサイトでよく見かける「施術前後の姿勢比較写真」も、扱い方を誤ると規制に抵触します。撮影角度や姿勢を意図的に変えて改善効果を強調する演出は、たとえ患者の同意を得ていても「治療効果を保証する表現」とみなされるリスクがあります。実際に、猫背矯正を掲げるある院がビフォーアフター画像をSNSに多数投稿していたところ、保健所から「施術効果を保証する表現に該当する可能性がある」として口頭指導を受けた事例が報告されています。画像を使う場合は、撮影条件を統一し、「個人の感想であり効果を保証するものではありません」旨の注記を必ず添えることが最低限のリスク回避になります。

接骨院・鍼灸院の広告規制を踏まえた正しい表現方法

広告規制は「何も表現できない」という意味ではありません。規制の枠を正確に把握した上で、以下の表現方法を活用することで、集客と法令遵守の両立が可能です。

施術メニューと料金を具体的に示す

「骨盤矯正コース 60分5,500円」「産後ケアプラン 初回3,300円」のように、施術内容と料金を明示することは認められています。患者が選びやすい情報提供になり、問い合わせの精度も上がります。

患者・利用者の声を活用する

施術者自身が「治る」と発信するのはNGですが、患者・利用者が自発的に語る体験談(お客様の声)は、一定の範囲で活用できます。ただし、虚偽や過度な演出は景品表示法に抵触するため、実際の体験に基づくものに限定してください。

資格・経歴・実績を事実ベースで伝える

「柔道整復師歴15年」「延べ1万人以上の施術経験」など、施術者の資格や経験を事実として記載することは有効です。患者の安心感・信頼感の醸成に直結します。

「院の理念・想い」で感情的共感を生む

効果を謳わなくても、「なぜこの院を開いたか」「どんな患者さんに来てほしいか」という想いの言語化は規制の対象外です。共感した見込み患者が来院するため、離脱率の低い集客につながります。

SNS運用で気をつけたい3つのポイント

InstagramやLINE公式アカウントでの発信は、ウェブサイトと同じ広告規制の対象になりますが、投稿頻度が高い分、うっかり違反表現を使ってしまうケースが目立ちます。特に注意したいのは次の3点です。

  • ストーリーズやリールのテロップに「治る」「改善確約」といった断定表現を使わない
  • ハッシュタグに「#腰痛治療」など医療行為を想起させる語を安易に使わない(「#腰痛ケア」「#腰痛サポート」などに置き換える)
  • コメント欄でのやり取りにも規制は及ぶため、患者からの「治りますか」という質問に「必ず治ります」と即答しない

SNSは投稿数が多くなるほどチェックの目が粗くなりがちです。月1回、直近の投稿を第三者目線で見直す時間を確保するだけでも、違反リスクは大きく下がります。

行政指導を受けた場合の対応フロー

万が一、保健所や自治体から広告表現について指摘を受けた場合、対応の初動を誤ると問題が長引きます。落ち着いて次の手順で対応することが重要です。

  1. 指摘内容を書面で確認する——口頭指導であっても、指摘された具体的な表現箇所と根拠法令を書面またはメモで正確に記録する。
  2. 該当箇所を速やかに修正・削除する——指摘を受けた表現は、ウェブサイト・SNS・チラシ・院内掲示物まで横断的に洗い出し、同様の表現がないか確認する。
  3. 修正完了の報告を行う——多くの自治体では、指導後の是正状況について報告を求められる。対応した日時と修正内容を記録し、求められた場合に提出できるようにしておく。
  4. 再発防止の体制を作る——広告物を新規作成・更新する際のチェック体制(誰が最終確認するか)を明文化し、院内で共有する。

行政指導は多くの場合、即座に業務停止処分につながるものではありません。しかし対応を放置すると、指導が繰り返し行政処分に発展するリスクが高まります。指摘を受けた時点で真摯に対応する姿勢が、その後の信頼関係にも影響します。

広告表現セルフチェックリスト

新しい広告物やSNS投稿を公開する前に、以下の項目を確認する習慣をつけましょう。

チェック項目 OKの基準
効果を断定していないか 「改善が期待できます」ではなく事実の記載にとどめる
疾患名を使っていないか 「腰痛」「肩こり」等の症状表現に置き換える
比較優位を主張していないか 客観的根拠のない「No.1」表現を避ける
医療行為と誤認させないか 「診察」「処方」など医療用語を使わない
体験談に注記があるか 「個人の感想」である旨を明記している

このチェックリストを院内のスタッフ全員が使える形で共有しておくと、担当者が変わっても表現の一貫性を保てます。

バディフルの支援事例

東京都内で整骨院を3院運営するA院長(40代)は、集客のためにウェブサイトやチラシに「腰痛・肩こりを根本から治す」「ヘルニアにも対応」といった表現を長年使用していました。開業から3年間、特に問題が発生しなかったため継続していましたが、同業者が行政指導を受けた事例を知り、不安を感じてバディフルに相談されました。

バディフルでは既存の広告・ウェブサイト・SNS投稿の全コンテンツを法令基準で精査し、NG表現を特定。約40か所の修正点を洗い出しました。その後、規制に適合した表現へのリライトを支援するとともに、「スタッフ紹介」「施術の流れ」「院長の想い」などのコンテンツを強化し、集客につながる情報発信の体制を整えました。

修正後3か月で、ウェブサイトからの新規問い合わせ数は月平均12件から21件へと約75%増加。法令リスクの解消と集客数の改善を同時に実現しました。

接骨院の広告表現を法令適合に見直した後の新規問い合わせ数の変化(見直し前12件→見直し後21件)
A院長の事例:ウェブサイトのNG表現を是正した後、新規問い合わせ数は月平均12件→21件へ増加(バディフル支援事例より)

別のケースでは、鍼灸院を1院運営するB院長(50代)が、Instagramの投稿で「自律神経の乱れが根本から改善」という表現を継続的に使用していました。フォロワーからの問い合わせは増えていたものの、表現の危うさに気づき、投稿履歴を遡って確認したところ、直近半年で規制に抵触しうる投稿が18件見つかりました。バディフルでは該当投稿の表現をすべて洗い出し、「自律神経が乱れがちな方向けの施術メニュー」といった事実ベースの表現に置き換える提案を実施。あわせて、今後の投稿前に確認するテンプレートを用意したことで、B院長自身がリスクを判断できる体制になりました。結果として問い合わせ数は表現変更後も大きく落ちることなく、むしろ「誠実な発信」として口コミで評価されるようになりました。

よくある質問

Q: 広告規制に違反すると、すぐに業務停止処分になりますか?
A: いいえ。多くの場合、まず保健所や自治体からの行政指導・是正勧告が入り、指摘箇所を修正すれば収束します。ただし指摘を無視して同様の表現を続けると、繰り返しの指導を経て行政処分に発展するリスクが高まります。
Q: ホームページやSNSも広告規制の対象になりますか?
A: 対象になります。2022年以降、厚生労働省はウェブサイト・SNS投稿・リスティング広告も広告規制の対象であると明確化しています。チラシや看板だけでなく、Instagramの投稿やストーリーズも同じ基準でチェックが必要です。
Q: 患者さんの「お客様の声」は載せてもいいのでしょうか?
A: 施術者側が「治る」と主張するのはNGですが、患者・利用者が自発的に語った体験談は一定の範囲で活用できます。ただし虚偽の内容や過度な演出を加えると景品表示法にも抵触するため、実際の体験に基づく内容に限定してください。
Q: 医療広告ガイドラインと接骨院・鍼灸院の広告規制は同じルールですか?
A: 異なります。医療広告ガイドラインは医師・病院など医療法上の「医療機関」向けのルールです。接骨院・整骨院は柔道整復師法、鍼灸院はあん摩マッサージ指圧師はり師きゅう師等に関する法律が根拠となり、規制の対象事項も書き方も別物のため混同しないよう注意してください。
Q: 広告表現に不安がある場合、誰に相談すればいいですか?
A: まずは開業地域を管轄する保健所や都道府県の担当窓口に確認するのが確実です。表現のリライトや院内のチェック体制づくりまで含めて相談したい場合は、集客支援の専門家に依頼することで、法令遵守と集客効果の両立を継続的に運用できます。

まとめ:広告規制の理解が院の信頼と成長を守る

接骨院・鍼灸院における広告規制は、患者を不当な誤解から守るための重要な制度です。規制を正しく理解することは、法的リスクの回避だけでなく、患者との長期的な信頼関係を築く土台にもなります。「何が言えて、何が言えないのか」を整理し、許可された範囲内で最大限に院の魅力を伝える表現を確立することが、安定した集客・経営の鍵です。定期的に広告内容を見直し、必要に応じて専門家のサポートを積極的に活用してください。

集客・経営でお悩みの院長様は、バディフルへの無料相談からお気軽にご連絡ください。