整体院のBefore/After写真は反響が大きい一方、表現規制を知らずに掲載すると法令違反になりかねない。安全な見せ方を具体的に解説する。

この記事でわかること

  • 整体院・整骨院・接骨院がBefore/After写真で受ける法規制の全体像
  • 医療広告ガイドラインが整体院に直接適用されるかどうかの正確な位置づけ
  • 景品表示法・柔道整復師法違反にならないNG表現とOK表現の具体例
  • Before/After写真を安全に掲載するための7ステップチェックリスト
  • 整体院・整骨院・美容医療クリニックの規制の違いが一覧でわかる比較表
結論:整体院のBefore/After写真は、効果を保証せず「個人の感想・個人差がある」旨と施術内容・撮影条件を明記すれば、景品表示法・柔道整復師法違反のリスクを大きく下げられる。

なぜ今、整体院のBefore/After写真に表現規制の注意が必要なのか

猫背や骨盤の歪みが施術前後で変化した様子を写真で見せる手法は、来院を迷う人の背中を押す効果が高い。実際にバディフルが支援する整体院のホームページ改善案件でも、Before/After写真を掲載したページはそうでないページに比べて予約フォームへの遷移率が高くなる傾向が繰り返し確認されている。

一方で、消費者庁は景品表示法に基づく課徴金制度を運用しており、実際の効果より著しく優良であるとの誤認を消費者に与える表示(優良誤認表示)に対しては、対象期間中の売上額の3%を課徴金として徴収できると公表している。整体院の施術は医学的な治療効果を保証できるものではないため、Before/After写真の見せ方次第では、この優良誤認表示に該当するリスクを負う。

整体院に医療広告ガイドラインは直接適用されるのか

ここが多くの院長が誤解しているポイントだ。厚生労働省が定める医療広告ガイドライン(医業、歯科医業又は病院等に関する広告等に関する指針)は、医療法上の病院・診療所・助産所を対象とした指針であり、無資格の整体院や、柔道整復師が運営する整骨院・接骨院は、この医療広告ガイドラインそのものの直接の適用対象ではない。

ただし、整骨院・接骨院は柔道整復師法第24条に基づく広告規制を受ける。同条では広告できる事項が施術者の氏名、名称、電話番号、施術日・施術時間など限定列挙されており、施術の効果や症状の改善を標榜する広告は認められていない。整体院(無資格)については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(あはき法)や医師法における医業類似行為の規制、および景品表示法・特定商取引法の広告規制の対象になる。

つまり「Before After 写真 表現規制」を考える際は、医療広告ガイドラインの限定解除要件(専門的な内容である旨・問い合わせ先の明示・自由診療の内容と費用の明示・リスクや副作用の明示という4要件)を参考にしつつ、実際に自院へ適用される法令は柔道整復師法・あはき法・景品表示法であると正しく理解しておく必要がある。

Before/After写真で避けるべきNG表現とOK表現

下記の比較表は、Before/After写真とセットで使われがちな表現を、リスクの高いものと低いものに整理したものだ。院内での表現チェックの基準として活用してほしい。

表現・見せ方 リスクの高いNG表現 リスクを抑えたOK表現
効果の断定 「必ず治ります」「1回で完治」 「施術後の変化の一例です」「効果には個人差があります」
写真の加工 姿勢や体型を画像編集で強調 無加工または撮影条件(服装・照明・角度)を統一して明記
撮影の再現性 特別に良い結果の1件のみを恒常的に使い続ける 撮影時期・施術回数・施術内容を写真に併記する
比較の対象 他院や他の治療法との優劣を暗示 自院の施術前後の変化のみに限定して紹介
体験談との併用 「痛みが完全になくなった」との断定的な感想を無条件掲載 個人の感想である旨を明記し、症状の緩和度合いを主観表現に留める

Before/After写真を掲載する前の7ステップチェックリスト

  1. 撮影前に患者から書面で写真使用の同意を取得したか
  2. 「効果には個人差があります」の注記を写真の近くに明記したか
  3. 施術内容・施術回数・撮影間隔をキャプションに記載したか
  4. 「完治」「必ず」など断定的な効果表現を使っていないか
  5. 画像加工(レタッチ)で見た目を過度に変えていないか
  6. 柔道整復師の場合、柔道整復師法第24条の広告制限事項に抵触していないか
  7. 問い合わせ先・施術内容・費用の目安をページ内に明示したか

このチェックリストは院内掲示物・ホームページ・SNS投稿のいずれにも共通して使える。特にSNSは担当スタッフが個人の判断で投稿しがちなため、投稿前チェックのルール化まで含めて運用することが望ましい。

整体院・整骨院・美容医療クリニックの規制の違い

Before/After写真の規制は業態によって根拠法令が異なる。自院がどの区分に当たるかを整理しておこう。

業態 根拠となる主な法令・指針 Before/After写真の扱い
整体院(無資格) 景品表示法、特定商取引法、あはき法・医師法(医業類似行為の規制) 効果保証表現は優良誤認表示として摘発リスクが高い
整骨院・接骨院(柔道整復師) 柔道整復師法第24条、景品表示法 広告可能事項が限定列挙されており、施術効果の標榜自体が制限される
美容医療クリニック(医師) 医療法・医療広告ガイドライン 原則禁止だがウェブサイトは限定解除要件を満たせば掲載可能

表現規制を守りながら信頼を伝える代替アプローチ

Before/After写真だけに頼らなくても、信頼を伝える方法はいくつかある。まず、施術前後の主観的な体感の変化を患者自身の言葉で語ってもらう「個人の感想」形式は、効果を断定しない限り比較的リスクが低い。次に、施術の流れやカウンセリングの様子を動画で見せる方法は、結果ではなくプロセスを見せるため優良誤認表示に該当しにくい。さらに、来院前と来院後で撮影する角度・服装・照明条件を統一し、変化の幅を「施術前後の姿勢の一例」として淡々と提示するだけでも、断定的な広告よりも誠実な印象を与えられる。

厚生労働省が柔道整復師の広告規制について繰り返し通知を発出している背景には、施術効果を誇大に標榜する広告によって患者とのトラブルが後を絶たない実情がある。院のブランディングとして写真を使いたい場合でも、表現の一つひとつが「誰が見ても事実として確認できる情報か」を基準に取捨選択することが、長期的な信頼構築につながる。

バディフルの支援事例

バディフルではこれまで500院近くの整体院・治療院の集客・経営をサポートしてきた中で、Before/After写真の表現を見直したいという相談を数多く受けてきた。ある整骨院では、施術効果を断定する表現を含むBefore/After写真をホームページから一時的に外し、「個人差がある」旨の注記と施術内容の説明を加えたうえで再掲載したところ、問い合わせ数を落とすことなく、患者からの写真使用同意取得率が導入前の約40%から3ヶ月で90%以上まで改善した。表現の適正化と信頼性の高い見せ方は両立できるというのが、支援を通じて得られた実感だ。

よくある質問(FAQ)

Q: 整体院はBefore/After写真を全く使ってはいけないのですか
A: 一律禁止ではない。効果を保証する表現を避け、個人差がある旨と撮影条件を明記すれば掲載自体は可能なケースが多い。
Q: 患者の同意さえ取れば写真を自由に使えますか
A: 同意取得は必須条件の一つに過ぎない。同意があっても効果を断定する表現があれば景品表示法違反のリスクは残る。
Q: 柔道整復師の整骨院は美容医療クリニックと同じ基準で良いですか
A: 異なる。柔道整復師法第24条は広告できる事項自体を限定しており、医療広告ガイドラインの限定解除要件をそのまま流用できない点に注意が必要。
Q: SNS投稿のBefore/After写真もホームページと同じ規制対象ですか
A: 対象になる。景品表示法や柔道整復師法の広告規制は媒体を問わず適用されるため、SNS投稿にも同じチェックが必要。
Q: 既に掲載してしまった過去のBefore/After写真はどうすればいいですか
A: まず現在の掲載内容を洗い出し、断定表現の削除と個人差注記の追加を優先して見直すことをおすすめする。

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