整骨院・接骨院の広告規制|柔道整復師法で出せない表現と広告審査に落ちない書き方
この記事の目次(7項目)
整骨院の広告規制は柔道整復師法第24条で定められており、広告できる表現は限られています。本記事では違反になりやすい表現と、広告審査に落ちない書き方を院長目線で解説します。
- 柔道整復師法第24条と厚生労働大臣告示で「広告してよい」とされる事項の全体像
- 「治る」「保険が使える」など整骨院広告でよく見るNG表現12例と、事実ベースの言い換え
- Google広告・Meta広告・LINE広告・チラシで審査に落ちやすいポイントの違い
- 入稿前に5分で確認できる7ステップのチェックリスト
整骨院の広告規制で押さえる柔道整復師法の表現ルール
柔道整復師法第24条は、柔道整復の業務や施術所について、手段を問わず「定められた事項以外は広告してはならない」と定めています。医療法の広告規制が「書いてはいけないことを決める」形なのに対し、柔整法は書いてよいことだけを決める形です。この違いを知らずに一般的な広告の感覚で文章を作ると、ほぼ確実に違反表現が入り込みます。
法律と告示で広告できる事項
第24条と厚生労働大臣の告示で認められている事項は、主に次のとおりです。
- 柔道整復師である旨、氏名、住所
- 施術所の名称、電話番号、所在地
- 施術日、施術時間
- 「ほねつぎ」または「接骨」
- 医療保険の療養費の支給申請ができる旨(脱臼・骨折の施術は医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)
- 予約に基づく施術、休日・夜間の施術、出張による施術の実施
- 駐車設備に関する事項
違反した場合は、同法第30条で30万円以下の罰金が定められています。実際にはいきなり罰金になるケースは少なく、保健所による指導から始まるのが一般的です。ただ、指導を受けた事実は広告媒体の審査や、療養費の取り扱いをめぐる保険者との関係にも影響します。厚生労働省の衛生行政報告例(令和4年末)では、施術所は全国で約5万か所あります。競合が多いからこそ、違反表現で目立とうとする院が後を絶たないのが現状です。
整体院(無資格施術)との違い
柔道整復師の資格を持たない整体院は、柔整法第24条の直接の対象ではありません。ただし、景品表示法(優良誤認・有利誤認)、医師法との関係、媒体ごとの広告ポリシーはすべての院に適用されます。「整体院だから何を書いてもよい」わけではない点に注意してください。
有料広告にかかわる4つのルール比較
整骨院が有料広告を出すときに関係するルールは、柔整法だけではありません。対象や罰則の違いを一覧にしました。
| ルール | 対象 | 主な規制内容 | 違反時のリスク |
|---|---|---|---|
| 柔道整復師法 第24条 | 整骨院・接骨院(柔整の施術所) | 法律・告示で認められた事項以外は広告禁止 | 30万円以下の罰金(第30条)、保健所の指導 |
| 景品表示法 | すべての事業者 | 実際より著しく優良・有利に見せる表示の禁止、ステマ規制(2023年10月施行) | 措置命令、売上額の3%の課徴金、2024年改正で100万円以下の罰金(直罰)を新設 |
| 医療法・医師法 | 医療機関/医業類似行為 | 「治療」「診療」「病院」など、医療機関と誤認させる用語の使用 | 指導、医療機関と誤認させた場合の行政対応 |
| 広告媒体のポリシー | Google・Meta・LINE・Yahoo!など | 誤解を招く健康上の主張、個人の健康状態を決めつける表現、ビフォーアフター画像 | 広告の不承認、アカウント停止 |
実務上、最初に引っかかるのは法律よりも媒体の審査です。媒体の審査は広告文だけでなく、リンク先のLPも対象になります。広告文を直してもLPに違反表現が残っていれば、不承認は解けません。
整骨院広告で出せない表現NG12例と言い換え
支援の現場でよく見る表現を、言い換え例とあわせて整理しました。ポイントは「効果を約束する」のをやめ、「事実と施術の流れを伝える」形に変えることです。
| NG表現 | 問題点 | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 腰痛が1回で治る | 効果の保証・優良誤認 | 初回は検査とカウンセリングに30分かけます |
| 根本改善/完治 | 効果の断定 | 負傷の経緯と生活習慣を伺い、施術計画を説明します |
| 肩こり・腰痛も保険OK | 療養費の対象外を対象と誤認させる | 療養費の支給申請ができます(対象はケガによる負傷) |
| 窓口負担0円 | 有利誤認、不適切な受領委任の疑い | 料金は来院時に明細でご説明します |
| 〇〇治療院/交通事故治療 | 「治療」は医療機関と誤認させる | 〇〇接骨院/交通事故によるケガの施術 |
| 地域No.1/満足度98% | 根拠のない最上級表現・数値 | 開院〇年(事実のみ記載) |
| 医師も推薦 | 権威づけによる誤認 | 必要に応じて医療機関をご案内します |
| 患者さんの喜びの声 | 体験談は広告可能事項に含まれない | (有料広告では使わない) |
| 施術前後の比較写真 | 効果の暗示、媒体の規約違反 | 院内・施術スペースの写真 |
| あなたの腰痛、限界ですよね? | Metaの「個人の特性」ポリシー違反 | 腰の負傷でお困りの方へ、予約制で対応しています |
| 今だけ初回無料 | 期限のない「今だけ」は有利誤認 | 初回料金は〇円です(期間を明記) |
| 骨盤矯正で痩せる | 効果の断定、痩身効果の誤認 | 姿勢のチェックと施術内容をご説明します |
言い換え後の文章は、正直なところ訴求力が落ちて見えます。しかし、審査に通らない広告はそもそも配信されません。差がつくのは、予約のしやすさ(夜間・休日・予約制・駐車場)という広告可能事項をどれだけ具体的に書けるかです。「平日20時まで受付」「駐車場4台」のような具体的な事実は、規制の範囲内で十分に選ばれる理由になります。
媒体別|広告審査に落ちやすいポイント
Google広告(リスティング)
「誤解を招く表現」や「根拠のない健康上の主張」が不承認の主な理由になります。広告見出しに「治る」「改善」、説明文に「No.1」が入ると、自動審査で止まりやすくなります。LPの見出しにも同じ表現がないか確認しましょう。
Meta広告(Instagram・Facebook)
最も厳しいのが「個人の特性」ポリシーです。「あなたの〇〇」「〇〇に悩んでいませんか?」のように、見る人の健康状態を決めつける表現は不承認になります。また、ビフォーアフター画像や体の一部を強調する画像も審査に落ちやすい傾向があります。
LINE広告・Yahoo!広告
どちらも医療に近い業種の審査が厳しく、LPに施術所の名称・所在地・柔道整復師である旨が明記されていないと差し戻されることがあります。院の基本情報をLPのファーストビューか、少なくともフッターに必ず入れておきましょう。
チラシ・ポータルサイト
チラシは媒体の審査がない分、違反表現がそのまま世に出やすい手段です。保健所への情報提供も、チラシや看板がきっかけになることが多いと言われています。ポータルサイトの掲載文も「施術所に関する広告」にあたるため、同じ基準で見直してください。
広告審査に落ちない入稿前チェックリスト
広告文やLPを作ったら、入稿前に次の7ステップで確認してください。慣れれば1本5分ほどで終わります。
- 施術所名・所在地・電話番号・施術時間がLPに明記されているか
- 「治る」「改善」「根本」「完治」など、効果を断定する語がないか(広告文・LP・画像内の文字すべて)
- 「治療」「診療」「病院」「クリニック」など、医療機関と誤認させる語がないか
- 保険に関する記載が「療養費の支給申請ができる旨」の範囲に収まり、対象をケガに限定しているか
- 「No.1」「満足度〇%」などの数値に客観的な根拠と出典があるか(なければ削除)
- 「あなたの〇〇」など、閲覧者の健康状態を決めつける表現がないか(Meta・LINE向け)
- 体験談・ビフォーアフター写真・医師の推薦が使われていないか
不承認になったときは、通知に書かれたポリシー名を控え、広告文とLPの両方を直してから再審査を申請しましょう。同じ表現で再入稿を繰り返すと、アカウント全体の停止につながることがあります。
バディフルの支援事例
バディフルではこれまで500院以上の整体院・治療院の集客・経営をサポートしてきた中で、広告表現の見直しだけで成果が変わる院を数多く見てきました。
ある郊外の整骨院では、Google広告とInstagram広告を自力で運用していましたが、「1回で変化を実感」「保険で負担軽減」といった表現が原因で、月に平均8件の広告が不承認になっていました。そこで広告文とLPをNG12例の基準で全面的に書き直しました。訴求の軸は「平日21時まで受付」「完全予約制」「駐車場5台」といった広告可能事項に切り替えています。その結果、不承認は翌月から0件になりました。配信が安定したことで、新規予約1件あたりの広告費は6,800円から4,200円に下がり、3ヶ月で新規予約は月21件から34件に増えています。
また、この3ヶ月で急増しているのが「AI集客を謳う業者から高額の長期契約を迫られた」という相談です。持ち込まれた提案書を確認すると、AIで大量に作った広告文に「根本改善」「地域No.1」など柔整法や媒体ポリシーに抵触する表現がそのまま入っている例が少なくありません。広告が止まっても違反の責任を負うのは院側です。契約の前に、表現チェックの体制と中途解約の条件を必ず確認してください。
よくある質問(FAQ)
- Q: 自費の整体メニューなら、柔道整復師法の広告規制は関係ありませんか?
- A: 整骨院・接骨院として届け出ている施術所なら、自費メニューの広告も「施術所に関する広告」と見られる可能性があります。院名に整骨院を掲げたまま効果を強く打ち出すのは避け、事実をもとにした表記に寄せるのが安全です。
- Q: 「保険適用」と広告に書いてもよいですか?
- A: 告示で認められているのは「療養費の支給申請ができる旨」で、骨折・脱臼は医師の同意が必要な旨の明示が条件です。肩こりや慢性的な腰痛にも保険が使えると読める表記は誤解を招くため、対象をケガに限定して書きましょう。
- Q: 患者さんの口コミや体験談を広告に使えますか?
- A: 体験談は柔整法の広告可能事項に含まれないため、有料広告では使わないのが無難です。Googleマップに患者さんが自分で投稿した口コミは広告ではありませんが、謝礼を渡して書いてもらうとステマ規制の対象になります。
- Q: 広告審査で不承認になったらどうすればよいですか?
- A: 通知に書かれたポリシー名を確認し、広告文だけでなくリンク先LPの該当表現も直してから再審査を申請します。同じ表現で再入稿を繰り返すとアカウント停止のおそれがあるため、修正履歴を残して1回で通すことを目指しましょう。
- Q: AI集客をうたう業者に広告運用を任せても大丈夫ですか?
- A: 契約前に、柔整法や媒体ポリシーに沿った表現チェックの体制があるか、最低契約期間と中途解約の条件を必ず確認してください。違反表現で広告が止まっても、責任を負うのは院側です。高額な長期契約をその場で決めるのは避けましょう。
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