予約システムの料金は月額固定と従量課金のどちらが得か。答えは月間予約件数で決まります。整体院が損益分岐点を自分で計算する方法を解説します。

この記事でわかること

  • 月額固定型・件数課金型・売上手数料型という3つの料金体系の違い
  • 損益分岐点を「月間予約件数」で求める計算式と3ステップの手順
  • 月30件〜250件の件数別コスト比較表(試算モデル)
  • SMS送信料・決済手数料・年契約の違約金など見落としやすい隠れコスト
  • 開業初期・一人院・複数スタッフ院のタイプ別に向いている料金体系
結論:月間予約件数が損益分岐点を超えるなら月額固定が得です。月額1万円と1件100円を比べると分岐点は100件で、月100件以上の院は月額固定、100件未満なら従量課金が有利です。

予約システムの料金体系は大きく3種類

整体院・治療院向けの予約システムの料金は、細かなプランの違いはあっても、ほぼ次の3つの型に分けられます。どの型かで「予約が増えたときに費用がどう動くか」がまったく変わるため、まず自院が検討しているサービスがどの型かを押さえましょう。

1. 月額固定型

予約件数に関係なく、毎月決まった金額を払う方式です。月額数千円〜2万円前後の価格帯が多く、スタッフ数や店舗数でプランが分かれる場合があります。予約が増えても費用は変わらないため、件数が多い院ほど1件あたりのコストが下がります。

2. 件数課金型(従量課金)

基本料金を0円〜低めに抑え、予約1件ごとに数十円〜数百円を払う方式です。予約が少ない月は安く済みますが、件数に比例して費用が増えます。開業初期や副業的に小さく始める院に選ばれやすい型です。

3. 売上手数料型(従量課金の一種)

予約1件ごとに施術料金の数%を手数料として払う方式で、ポータルサイト型の予約サービスに多く見られます。施術単価が上がるほど1件あたりの手数料も上がるため、自費の高単価メニューが中心の院ほど負担が大きくなります。

予約システムの月額固定と従量課金の損益分岐点を計算する方法

損益分岐点とは、月額固定型と従量課金型の月額費用がちょうど同じになる予約件数のことです。この件数を超えれば月額固定型が得、下回れば従量課金型が得になります。計算式は次のとおりシンプルです。

損益分岐点(件)=(月額固定型の月額 − 従量課金型の基本料)÷ 従量課金型の1件あたり単価

たとえば月額固定型が10,000円、従量課金型が基本料0円・1件100円なら、10,000 ÷ 100 = 100件が分岐点です。売上手数料型で施術単価6,000円・手数料5%なら1件あたり300円なので、10,000 ÷ 300 ≒ 34件で逆転します。売上手数料型は、思っているよりずっと少ない件数で割高になると覚えておきましょう。

自院の分岐点は、次の3ステップで出せます。

  1. 直近6ヶ月の月間予約件数を出す:予約台帳やレセコン、LINEの予約履歴から月ごとの件数を集計し、平均と最少月・最多月をメモします。
  2. 候補サービスの料金を「月額」と「1件単価」に分解する:初期費用は12ヶ月で割って月額に足し、売上手数料型は「平均施術単価×手数料率」で1件単価に直します。
  3. 分岐点と自院の件数を比べる:最少月でも分岐点を超えていれば月額固定型、最多月でも下回るなら従量課金型を選びます。その間に収まる院は、次の比較表で年間の総額を比べて決めます。

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月間予約件数別のコスト比較表

下の表は、月額固定型(月10,000円)、件数課金型(基本料0円・1件100円)、売上手数料型(施術単価6,000円×手数料5%=1件300円)の3つを、月間予約件数ごとに比べた試算です。料金は主要サービスの公開価格帯を参考に置いたモデル値で、特定サービスの価格ではありません。

月間予約件数 月額固定型(10,000円) 件数課金型(1件100円) 売上手数料型(1件300円) 最安
30件 10,000円 3,000円 9,000円 件数課金型
60件 10,000円 6,000円 18,000円 件数課金型
100件 10,000円 10,000円 30,000円 固定=件数課金(分岐点)
150件 10,000円 15,000円 45,000円 月額固定型
250件 10,000円 25,000円 75,000円 月額固定型

一人院で1日平均5件・月22日営業なら月110件で、すでに分岐点の100件を超えています。スタッフ2名で1日12件なら月264件となり、件数課金型との差は月16,400円、年間で約19.7万円です。売上手数料型との差は月65,000円以上、年間約78万円に広がります。予約が順調に増えている院ほど、料金体系の選び方が利益に直結します。

損益分岐点の計算で見落としやすい隠れコスト

月額と1件単価だけで比べると、実際の請求額とずれることがあります。次の項目も必ず確認してください。

  • SMSリマインド送信料:SMSは1通あたり数円〜十数円の従量課金になっているサービスが多く、月200件の予約に前日リマインドを送ると、それだけで月数千円になる場合があります。
  • オンライン決済手数料:事前決済を使う場合、決済代行の手数料がかかります。たとえばStripeの国内カード決済の標準手数料は3.6%(Stripe公式サイトの料金ページより)です。施術単価6,000円なら1件216円で、予約システム本体の料金とは別にかかります。
  • 初期費用・導入支援費:0円のサービスもあれば数万円かかるものもあります。12ヶ月で割って月額に足して比べましょう。
  • オプション料金:スタッフ追加、問診票、回数券管理、LINE連携などが別料金になっていないか確認します。
  • 年間契約の最低利用期間と違約金:月額が安いプランほど年契約の縛りがあることが多く、途中で乗り換えると残り期間分を請求される場合があります。
  • 消費税の表記:税抜表示と税込表示が混ざっていると、比較が10%ずれます。

整体院のタイプ別に向いている料金体系

開業1年目・予約件数が月50件未満の院

件数が読めない時期は、固定費を抑えられる件数課金型が無難です。ただし集客が軌道に乗ると数ヶ月で分岐点を超えることもあるため、3ヶ月ごとに件数を見直してください。

一人院で月80〜150件の院

分岐点のすぐそばにいる層で、判断をいちばん間違えやすい層です。繁忙月と閑散月の差が大きいなら、1ヶ月だけで判断せず、12ヶ月の合計額で比べるのが確実です。

複数スタッフ・月150件以上の院

月額固定型が有利になりやすい層です。件数が増えても費用が増えないので、キャンセル待ち通知やリマインドを積極的に使って稼働率を上げるほど、1件あたりのコストが下がります。

バディフルの支援事例

バディフルではこれまで500院以上の整体院・治療院の集客・経営をサポートしてきた中で、料金体系を見直さないまま予約システムを使い続け、気づかないうちにコストが膨らんでいるケースを何度も見てきました。

ある一人院では、開業時に選んだ売上手数料型の予約サービスをそのまま使い続けていました。月の予約件数が約180件まで増えた結果、手数料は月5万円を超えていました。損益分岐点を一緒に計算したところ30件台だったため、月額固定型の予約システムへ切り替え、あわせて既存患者にはリマインドを自動送信する運用にしました。その結果、予約システムにかかる費用は年間でおよそ50万円下がり、浮いた分をMEO対策の強化に回せるようになりました。

また、この半年では、複数のLINE公式アカウントが混在して集客動線が分散しているケースも複数見てきました。旧院名のアカウントとスタッフが個別に作ったアカウントが並んで動いていて、患者がどちらから予約すればよいか迷い、予約の窓口が分かれていたのです。ある院では、アカウントを1つにまとめて予約システムへの導線を1本にしたところ、3ヶ月でWeb経由の予約比率が約35%から約58%に上がりました。料金体系の見直しと予約導線の整理を同時に行うと、費用削減と予約数の増加を一度に狙えます。

よくある質問(FAQ)

Q: 開業したばかりで予約件数が読めません。どちらを選ぶべきですか?
A: 月の予約件数が読めない開業初期は、固定費を抑えられる従量課金型が無難です。ただし3ヶ月ごとに実績件数を損益分岐点と比べ、分岐点を2ヶ月続けて超えたら月額固定型への切り替えを検討しましょう。
Q: 従量課金の「1件」にはキャンセル分も含まれますか?
A: サービスによって違います。予約を受け付けた時点で課金されキャンセル分も数える方式と、来院が確定した分だけ課金する方式があります。無断キャンセルが多い院ほど差が出るため、契約前に数え方を必ず書面で確認してください。
Q: 月額固定型を途中解約すると違約金はかかりますか?
A: 年間契約で月額を割り引くプランでは、途中解約すると残り期間分の支払いや違約金が発生する場合があります。月額の安さだけで年契約を選ばず、最低利用期間と解約条件も比較表に入れて判断するのが安全です。
Q: ポータルサイト経由の予約手数料も損益分岐点に含めるべきですか?
A: 含めるべきです。ポータル経由の予約は1件ごとに手数料や成果報酬がかかる、従量課金と同じ構造です。自社予約システムの固定費と合わせて「予約1件あたりの総獲得コスト」で比べると、伸ばすべき経路を判断しやすくなります。

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