整体院の法人提携を福利厚生で始める手順|従業員割引・会社補助の契約設計と提案書の作り方
この記事の目次(7項目)
整体院の法人提携を福利厚生として始めるなら、出張施術より先に「来院型の従業員割引」から始めると負担が小さく済みます。契約形態の選び方と提案の手順を順番に解説します。
- 福利厚生としての法人提携で選べる4つの契約形態と、それぞれの費用負担・手間の違い
- 提携先企業の探し方と、健康経営優良法人の認定を手がかりにした提案の切り口
- 提案書に入れる7項目と、契約書で必ず決めておくべき条件
- 提携後に法人経由の来院を測る方法と、利用を増やす社内告知の工夫
整体院の法人提携とは|福利厚生として結ぶ「来院型」の契約
法人提携には大きく2つの形があります。1つは院長が企業へ出向いて施術する「出張施術型」、もう1つは従業員が院に来て施術を受け、割引や会社補助が付く「来院型」です。出張施術の営業トークは別の記事で扱っているため、この記事では来院型の福利厚生提携に絞って解説します。
来院型には、院を空けずに済む、施術の質を院の設備で保てる、従業員が家族や同僚を紹介しやすいという利点があります。一方で、提携しても社内で知られなければ利用はほぼ生まれません。契約を結ぶこと自体より、「社内でどう知らせてもらうか」まで設計することが成果を分けます。
なぜ今、企業は福利厚生に整体を入れたいのか
背景には、企業側の2つの事情があります。
- 従業員の不調の多くが肩こり・腰痛:厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査」では、自覚症状の有訴者率で男性は「腰痛」、女性は「肩こり」が1位です。デスクワークや立ち仕事の多い職場ほど、身近な悩みとして関心が高い分野です。
- 健康経営の認定制度が広がっている:経済産業省の「健康経営優良法人2025」では、中小規模法人部門で19,796法人が認定されました。認定基準には運動機会の増進や従業員の健康づくりの取り組みが含まれるため、手軽に始められる施策を探している企業が増えています。
また、日本の企業の99.7%は中小企業です(中小企業庁「中小企業白書」)。大手のように福利厚生の専任部署がない会社が大半なので、「手間がかからず、費用が読める」提案は通りやすくなります。
福利厚生として結ぶ法人提携の4つの契約形態を比較
整体院が企業と結ぶ福利厚生提携は、次の4形態に分けて考えると整理しやすくなります。
| 契約形態 | 企業の費用負担 | 院の手間 | 売上の安定度 | 向いている段階 |
|---|---|---|---|---|
| 従業員割引型(例:初回50%オフ・2回目以降10%オフ) | 0円 | 小(割引の確認のみ) | 低い(利用は従業員任せ) | 最初の1社目・実績づくり |
| 会社補助型(例:1回あたり2,000円を会社が負担) | 利用分のみ(月数千〜数万円) | 中(月末の利用報告と請求) | 中 | 割引型で利用実績が出た後 |
| 回数券買取型(例:10回券を会社が一括購入し配布) | 先払い(例:10回券×5冊) | 中(券の管理・有効期限の設定) | 高い(入金が先) | 健康経営の予算がある企業 |
| 福利厚生代行サービスへの掲載 | 0円(企業は代行会社へ会費を払う) | 小〜中(掲載手続き・割引対応) | 低い(多数の掲載院と競合) | 個別営業の余力がない院 |
1社目は、企業がお金を出さずに済む従業員割引型が最も話を通しやすい形です。「まず割引から始め、3か月の利用件数を見てから補助を検討してください」と段階を示すと、担当者は社内稟議を通しやすくなります。
福利厚生代行サービスへの掲載は、手間は少ないものの、同じエリアの掲載院と並べて比べられるため、割引の大きさだけで選ばれやすくなります。直接提携と併用し、代行サービスは補助的な入口として使うのが無難です。
整体院の法人提携を福利厚生で始める7つの手順
初めて提携に取り組む院は、次の順番で進めると抜け漏れを防げます。
- 提携の条件を先に決める:割引率、対象メニュー、対象者(従業員のみか家族も含むか)、利用確認の方法(社員証の提示・専用クーポンコード)を決めておきます。割引は初回に厚く、2回目以降は控えめにすると利益が残ります。
- 提携先の候補をリストにする:院から徒歩・自転車圏内の従業員30〜300名規模の企業が狙い目です。健康経営優良法人の認定企業の一覧(経済産業省のサイトで公開)や、商工会議所・法人会の会員名簿から探します。
- 既存患者のつながりを確認する:問診票の職業欄や会話から、近隣企業に勤める患者を洗い出します。総務担当者や経営者を紹介してもらえると、飛び込みより格段に話が早く進みます。
- 提案書を1枚にまとめる:下の「提案書に入れる項目」を参考に、A4で1〜2枚に収めます。施術の効果効能を断定する表現は避け、「肩や腰の悩みの相談先」としての価値を伝えます。
- 試行期間付きで合意する:最初の契約は3か月の試行期間とし、期間後に利用件数を報告して継続・拡大を相談する形にします。企業側の心理的なハードルが下がります。
- 社内告知の素材を院が用意する:社内掲示用のポスター、メール文面、予約用QRコードを院側で作って渡します。担当者が自分で作る必要がないことが、告知を実行してもらう最大のコツです。
- 利用件数を記録し、四半期ごとに報告する:企業別の利用件数と満足度アンケートの結果をまとめて共有します。この報告が、会社補助型や回数券買取型への切り替えの材料になります。
提案書に入れる項目チェックリスト
- 院の概要(所在地・企業からの距離・営業時間・平日夜や土日の対応)
- 提携内容(割引率・対象メニュー・対象者・利用確認の方法)
- 企業側の費用と手間(割引型なら0円・告知素材は院が用意)
- 従業員が利用する流れ(予約→来院→社員証提示の3ステップ)
- 試行期間と報告の頻度(3か月・四半期ごとの利用報告)
- 健康経営の取り組みとして記載できる旨
- 問い合わせ窓口と担当者名
契約書で決めておくべき条件
口約束で始めると、担当者の異動や割引の解釈違いでトラブルになりがちです。簡単な覚書でよいので、次の条件は書面に残します。
- 対象者の範囲:正社員のみか、パート・派遣社員・家族を含むか。
- 割引・補助の内容と上限:会社補助型なら1人あたりの月の上限回数を決めておくと、企業の予算が読みやすくなります。
- 請求と支払いの方法:月末締め翌月末払いなど。利用者名を企業へ報告してよいかは、従業員本人の同意を前提にします。
- 個人情報の扱い:施術内容や体の状態を企業へ伝えない旨を明記します。従業員が安心して使えるかどうかに直結します。
- 契約期間と解約の条件:1年更新、解約は1か月前の通知など。
なお、整体は公的医療保険の対象外の施術です。提案書や社内告知で「治る」「改善する」などの断定表現を使うと、景品表示法などの観点で問題になるおそれがあります。表現に迷う場合は専門家に確認しましょう。
提携後に利用を増やす運用のコツ
提携の成果は「何件の法人経由の来院があったか」で測ります。予約時の流入元に企業名を選べる項目を設けたり、企業ごとに別のクーポンコードを発行したりすると、どの提携が効いているかが数字で分かります。来院経路の取り方は来院経路を正しく把握する方法も参考にしてください。
利用を増やす工夫としては、次のようなものが効果的です。
- 年度初めや健康診断の時期に合わせて、社内メールでの再告知をお願いする
- 昼休みや終業後に通いやすい時間帯の予約枠を、提携企業向けに確保する
- 利用した従業員に、同僚紹介用のカードを渡す
- 年1回、社内で15分程度のセルフケア講座を無料で行い、院を知ってもらう機会を作る
バディフルの支援事例
バディフルではこれまで500院以上の整体院・治療院の集客・経営をサポートしてきた中で、法人提携に取り組む院の相談も増えています。
ある都市部の整体院(スタッフ2名)では、近隣のIT企業(従業員約80名)と従業員割引型の提携を結んだものの、最初の2か月の法人経由の来院は3件にとどまっていました。原因を確認すると、社内告知は一度のメールだけで、予約ページに提携企業向けの案内がなく、従業員が割引の使い方を分からない状態でした。そこで、社内掲示用のポスターとQRコードを院側で作成し、予約ページに企業専用の入口を設けたところ、その後の3か月で法人経由の新規来院は月平均7件に増え、うち6割が2回目以降も通院を続けました。この実績をもとに、翌年度から会社補助型(1回2,000円補助)へ切り替わっています。
また、直近の相談院でサーチコンソールを確認すると、自律神経や精神系キーワードからの流入が増えているケースが目立ちます。デスクワーク中心の企業の従業員は、肩こりだけでなく睡眠や疲れの悩みも抱えていることが多く、提案書でこうした相談にも対応できる点を伝えると、担当者の反応がよくなる傾向があります。
さらに、広告費をかける前にサイトの導線を整えることで、費用をかけずに予約率が改善した院も複数あります。法人提携でも同じで、「提携した企業の従業員が迷わず予約できるページ」があるかどうかが、利用件数を大きく左右します。
よくある質問(FAQ)
- Q: 一人で営業している整体院でも法人提携はできますか?
- A: できます。来院型の従業員割引なら院を空ける必要がなく、手間は割引の確認と利用件数の記録だけです。まずは徒歩圏の1社と3か月の試行で始め、予約枠が埋まりすぎないか様子を見てから広げると無理がありません。
- Q: 割引率はどのくらいに設定すればよいですか?
- A: 初回は30〜50%オフと厚めにし、2回目以降は10%前後に抑える院が多いです。全回で大きく割り引くと利益が残らないため、初回で来院のきっかけを作り、通院の継続は施術内容と提案で支える設計にしましょう。
- Q: 提携先の企業はどうやって探せばよいですか?
- A: まずは既存患者の勤務先から、総務担当者や経営者を紹介してもらうのが最短です。次に、経済産業省が公開している健康経営優良法人の認定企業一覧から、院の近くにある従業員30〜300名規模の企業を選んで提案すると効率的です。
- Q: 福利厚生代行サービスに掲載するだけで十分ですか?
- A: 掲載だけでは同じエリアの院と割引率で比べられやすく、利用が伸びにくい傾向があります。代行サービスは補助的な入口と考え、近隣企業との直接提携で社内告知まで協力してもらう形と併用するのがおすすめです。
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